外壁塗装をするときに、多くの人が業者選びに悩まれます。
特によくあるのが「大手の業者が良いのか・地元の業者が良いのか」ということ。
大手と地元業者では、どっちが良い悪いということはなく、どちらが自分にとって安心できて、メリットが合うかという判断が大切です。
外壁塗装はその場だけの補修でなく、将来的な住宅の維持に関わることなので、後悔しないための選び方を知っておきましょう。
今回は、塗装業者を選ぶときに役立つ、大手と地元業者のメリット・デメリットをご紹介します。これから住宅の塗装をご検討の方は、ぜひ参考にしてみてください。
大手の塗装業者を選ぶメリット・デメリット
テレビCMやチラシ等で目にしたことがある大手の塗装業者は、名前もなんとなく知っているから、依頼する業者の候補として選択肢に入りやすいでしょう。
大手の塗装業者を選ぶときの、メリットとデメリットを解説します。
メリット
大手の塗装業者に依頼するメリットは3つです。
総合的な安心面に関することが、主なメリットとしてあげられます。
① 実績豊富な安心感
大手業者に依頼する最大のメリットは、実績豊富で安心感が高いこと。
全国からの依頼に対応をするため、施工実績が多く、あらゆるケースの施行例があります。
また、大手企業の看板を背負っていることもあり、対応についても安心感を持てることが多いでしょう。
② 長期的な管理面も安心
大手業者は、塗装の履歴を長期的に保管しています。
地元業者でもしっかり保管している企業もありますが、外壁塗装は10年に一度が目安とされているため、前回塗装の詳細がわかることは大切です。
塗装は外壁だけでなく、屋根、雨樋、ベランダなど、さまざまな箇所があります。
住宅は40年50年と続くものなので、長期的な管理体制も安心できるポイントです。
また、大手の場合はハウスメーカーであることもあります。
家を購入したハウスメーカーに、そのまま塗装のメンテナンスまで依頼できるという手軽さもメリットです。
③ 長期的な保証も安心
外壁塗装には長期保証サービスがついているケースがありますが、倒産してしまっては長期保証の意味がありません。
長期保証があれば、塗装の剥がれを補修してもらえることもあるので、業者選びに関わる大切なポイントです。
大手企業は、一般的に倒産するリスクが少なく、長期的な保証についても安心できます。
デメリット
大手の塗装業者に依頼するメリットは魅力的ですが、デメリットがあることも忘れてはいけません。
デメリットも理解した上で、自分に向いているか判断をしましょう。
① 塗装費用が高い
大手業者に頼むことで、1番大きなデメリットとなるのが費用の高さです。
大手の方が安いと思っている人もいるため、複数社に相見積もりをとったときに驚くケースも多いでしょう。
大手業者に依頼すると費用が高くなってしまうのはなぜなのか?
なぜなら、塗装作業は大手企業が行う訳ではなく、実際は下請け業者が作業を行います。
そのため、大手企業に中間マージンを払い、実際施工する下請け業者へ利益を乗せた金額が見積もりとして算出されるのです。
② 塗料の種類が限られることがある
大手業者は保証やメンテナンスが安心とされるメリットがありますが、塗料の種類が限られることがあります。
塗料の種類は相当数ありますが、大手業者は使用実績があるものや、テストをしたものしか使用できないというケースも珍しくありません。
その分、安心できる塗料ではありますが、色や塗料にこだわりがある場合は、保証の対象から外れてしまうことや施工ができないケースもあります。
また、外壁塗装を専門でやっていない大手業者の場合は、特殊な塗料や技術的に対応できないケースも出てきます。
③ 連絡事項や情報伝達によるトラブル
大手業者から実際に作業をする下請け業者に、連絡が不十分だったことによるトラブルも懸念されます。
顧客から注文や要望を直接受けるのは大手業者になり、そこから下請け業者に漏れなく正しい認識を伝えなくてはいけません。
段階が増えることで、依頼内容の情報漏れや認識のズレが生じる可能性があります。
地元の塗装業者を選ぶメリット・デメリット
地元の塗装業者には、地域密着型の距離感により、大手業者には無いメリットが多くあります。
企業が全国的に知られている訳ではないですが、長年地元で愛されている強みは、信頼性が高く持てるポイントです。
地元の塗装業者を選ぶときの、メリットとデメリットを解説します。
メリット
地元の塗装業者に依頼するメリットは4つです。
費用の安さや身近なコミュニケーションに関することが、主なメリットとしてあげられます。
① 大手よりも費用が安い
地元の塗装業者は、注文を取った会社に塗装の職人がいるので、中間マージンを掛けずに自社で施工まで可能です。
受注~お見積り~打ち合わせ~施工まですべて自社管理であることがほとんどなので、余計な費用がかからない金額で対応できます。
また、安いからといって塗料や技術の質が落ちることはありません。
それとは反対に、塗装に特化した企業なので、専門知識や特殊な技術、取り扱う塗料の種類も豊富であるケースが多いです。
相見積もりを取れば、大手との金額差は明確になるでしょう。
② 対応がスムーズ
地元の業者は地域密着型であるため、現地での対応もスムーズです。
万が一のトラブルで困った場合も、素早く駆け付けてくれるのが近い地元ならではのメリットがあります。
大手のように下請け業者へ伝えるタイムラグもなく、直接相談や要望が伝えられるので、連絡漏れや認識のズレが起こりにくいです。
③ 地域の環境や気候に合った提案がもらえる
例えば、海が近い地域、寒さが厳しい地域など、その地域の環境や気候によって、適した塗料の種類や施工の仕方があります。
地元の業者であれば、地域の特徴は良く知っており、対応できる経験や実績も豊富です。
塗装を長持ちさせるためにも、最適な塗料を選べることは大切なポイントになります。
④ 地元ならではの安心感
大手は名前が知られている大きな企業という安心感はありますが、地元業者であればその会社を直接目で見ることができる安心感があります。
外からでも会社の雰囲気が見られることは、地元の距離感だからこそできるメリットです。
何十年もその地にある企業であれば、地元内での評判を直接聞けることもあり、信頼性もより高く持てるでしょう。
デメリット
地元の業者にもデメリットがあります。
メリットとデメリットを総合的に見て、大手と比較してみると良いでしょう。
① 業者選びが大変
大手業者なら簡単ということではありませんが、地元の地域に絞ったとしても、多くの塗装業者が見つかります。
1社1社情報を見ていく時間も掛かり、中には評判が良くない業者もあるので注意しなくてはなりません。
✓こんな業者には気を付けた方がいい
・不安をあおって契約を急がせる
・外壁の調査をしっかりしない
・高額値引きを謳ってくる
・詳しい説明がない
・実績が不明確
地元での実績が豊富であり、丁寧な説明や信頼ができる業者を選びましょう。
② 保証内容
長期保証がつくサービスも増えてきましたが、大手に比べて地元業者の方が倒産リスクはあります。
3年後、5年後、10年後、大手なら絶対に安心という訳ではありませんが、最悪の場合、倒産してしまうリスクまで考えなくてはいけません。
倒産してしまうと、長期保証があっても受けられなくなってしまう場合もあります。
このようなリスクを回避するために、以下の団体に加入している業者だと、万が一倒産しても対応してもらうことが可能です。
・建築産業専門団体連合会「長期性能保証制度」
・日本塗装工業会「ペインテナンス」
・マスチック事業協同組合連合会「長期性能保証」
大手?地元?どんな人にどっちが向いている?
大手と地元業者には、どちらもメリット・デメリットがあります。
結局どっちが良いのかわからないという人もいるでしょう。
人によって重要視したい部分が異なるので、それぞれの特徴を見て大手と地元業者のどちらが向いているか判断します。
大手の塗装業者が向いている人の特徴
✓ ある程度の予算は仕方ないと思っている
✓ 塗装業者選びの時間を省きたい
✓ 家を建てたハウスメーカーにそのまま依頼したい
✓ 延長保証の心配もしたくない
地元の塗装業者が向いている人の特徴
✓ 費用を少しでも抑えたい
✓ 身近な業者で信頼できる業者に依頼したい
✓ 知識が豊富で丁寧なやりとりできる業者がいい
✓ 地元ならではの安心感がある方がいい
塗装業者を選ぶときに見るべきポイント
塗装業者を選ぶときに、見ておきたいポイントが4つあります。
安心材料に繋がる大切な部分です。
相見積もりをとる
1社だけの見積もりでは、適正な金額なのか判断することは難しいです。
金額だけでなく、契約内容や保証内容も、相見積もりをとることで比較しやすくなります。
この相見積もりでは、スムーズに対応してくれるか、丁寧でわかりやすい説明があるかなども比較したいポイントです。
実績や施工事例
実績や施工事例は大手の方が豊富かもしれませんが、地元業者でも十分な実績を持っているところは多いです。
自分の環境に近い住宅の実績や、希望する塗料の種類や色の実績があると選びやすくなるでしょう。
担当者との信頼関係
直接やりとりする担当者との連絡の取りやすさや信頼関係も大切です。
「なんか相談しづらい人だな・・・」「いつも忙しそうで気が引けちゃう・・・」など、人と人なので話しやすさなどの相性もあります。
細かなことでも聞きやすく、相談がしやすい信頼関係が持てる担当者が理想です。
長期保証まで考えると長い付き合いになるので、担当者との相性もポイントになります。
資格や許可
塗装業者向けの資格や許可があるので、一つの指標としてチェックしておくと安心です。
専門的な資格であり国家資格もあります。
✓塗装業者に関わる主な資格や許可
・塗装技能士
・外装劣化診断士
・建設業許可
・有機溶剤作業主任者
・足場の組み立て等作業主任者
すべて必要という訳ではありませんが、業者を選ぶ判断材料として見ておきたいポイントです。
外壁塗装を依頼するときの注意点
大手・地元どちらの業者だとしても、外壁塗装を依頼する時に気を付けたいポイントがあります。
注意点を知っておくことで、万が一のトラブルや食い違いを防ぐことが可能です。
注意すべきポイントを3つ解説します。
見積もり内容をしっかりチェック
外壁塗装を依頼するときに、複数社へ相見積もりをとることがおすすめです。
その時に、ただ単に金額だけを見るのではなく、どのような作業が含まれているのかチェックをします。
A社の見積もりでは○○の工程が含まれているのに、B社では○○が含まれていなかったというケースも珍しくありません。
後から付け加えたら、結局高くなってしまった・・・という後悔する結果になってしまいます。
見積もりの内容はしっかりと確認し、思い込みで進めないようにしましょう。
工事の説明や工事期間の確認
塗装工事は、足場を組むときの騒音や塗料のニオイ、塗料の汚れ防止でカバーを掛けるなど、近隣住宅にも影響が出る作業があります。
どのような工程で、どれくらいの期間で完了するのか、具体的な確認もしておきましょう。
保証内容をチェックする
長期保証サービスに力を入れる業者も増えてきましたが、保証内容にはバラつきがあります。
塗料の種類によっては対象外となってしまうケースや、いろいろな条件付きとなることもさまざまなので、よく注意したいポイントです。
まとめ
塗装業者は、大手と地元のどちらを選んでも正解・間違いということはありません。
大手にも地元業者にもメリットやデメリットがありますが、大切なのは「どちらの特徴が求めているものに合っているか」ということです。
地元業者の場合、デメリットとされる長期保証のリスクですが、万が一倒産しても団体に加入している業者であれば、長期保証の不安リスクをカバーできる対策もあります。
重要視したい部分や優先順位を決めて、自分に合った業者選びを行いましょう。
